CANON FLEX RM
父が私の生まれる前に購入したキャノンの一眼レフ、キャノンフレックスRMです。確か1962年頃の発表だったと思います。当時はカメラはまだまだ高価で、父も相当の大枚をはたいたようです。父は私と違って研究が嫌いで、勤務先に出入りしていた業者の言いなりにこのカメラを買ったようですが、どうだったのでしょうか・・・。ニコンやペンタックスの方が当時としては良かった気もしますが・・・。スペック的には1〜1/1000までの布幕横走りシャッターで、セレンの露出計が内蔵されており、シャッターダイアルと連動してメータが見れるタイプです。フィルム巻き上げはレバーなのですが、ボディに埋め込まれた感じの独特のもので、使いにくくはないです。レンズは有名なFDレンズの前のFLレンズのもう一つ前のRレンズで、キャノンの一眼レフ用初期のものです。自動絞り機能はあるのですが、チャージが必要な珍しいタイプです。マウントの形状自体はFL、FDと同じなのでその後のレンズも使えます。
私は小学校の頃、鉄道マニアでしたので、このカメラを良く借りて旧国鉄の特急電車などを撮っていました。当然当時は単体露出計など使っていませんでしたから、このカメラ内臓の露出計を使ったのですが、あるのと無いのでは大違い。癖が分かれば実に便利で、今でもちゃんと使えます。セレンは経年変化が少ないようで、丈夫な露出計です。中学の頃からはほぼ私が独占していました(というか父が使わなかった)。高校の頃、1/8のシャッター速度だけがおかしくなったのでキャノンに修理してもらい、その後現在までまったく快調に動いています。大学に入ったときにニコンFE2を入手するまで私のメイン機種でした。
思い出してみると、父はこのカメラで私・妹を撮るのに使った、とか言ってましたし、運動会向けに望遠ズームを買っていたりしたのですが、実際に私・妹を撮影したのは今残っているアルバムを見る限り母のようです・・・。我が家では父より母の方がメカ・電気・大工などが好きだったのでした。私が模型やさまざまなメカものが好きになったのも母の影響で、母は私が子供の頃、自分がプラモデルを作ってみたくて私のために、と言い訳しながらプラモデルを買ってきて私の目の前で作ってくれたり、ラジオの組み立てキットを小学校の頃に私が作って動かないものを母が直してくれたりしました。
ちょっと話しがそれましたが、中学・高校の頃になると男の子は大抵カメラに興味を持ちはじめ、同級生でも立派なカメラを買ってもらう人もいました。特に修学旅行はやっぱりカメラ。私としてはキャノンならF−1やA−1が欲しかったのですが、自分の使っているRMにはあまり魅力を感じませんでした。黒いカメラが欲しかったような気がします。しかし、修学旅行で立派なカメラを持って来たクラスメートは悲惨でした。不良連中に取り上げられ、当時はやっていたモータードライブが面白いと、あっという間に連射され、フィルムがなくなっていたようです・・・。
さて、ニコンFE2を頂いてからはRMはほとんど使っていなかったのですが、ペンタックスSPを頂いたときにスーパータクマーレンズに惚れてしまい、シャッター不調のSPの代わりにマウントアダプターを買ってこのRMが活躍しました。同時にRレンズやFLズームレンズの味もようやく分かるようになり、今では大切な一台です。何しろ我が家では貴重なFDマウントのボディですし。R50mmF1.8レンズはあまりに使わないでいたためか、絞りが閉じたままになってしまう故障を起こしましが、キャノンで修理してもらえたので今ではまた快調に使えています。F−1と同じくらい大きくてどっしりしたシルバーボディも今では好きです。
キャノンのカメラミュージアムにこのカメラが展示されています。