Kiev4a

 アメリカのインターネットオークションで落札したキエフ4aです。ご存知の通り、ほぼ戦前のコンタックスUそのものです。ボディ69年製で、レンズはなぜか55年製のジュピター8(50mmF2)です。キエフ4aはオリジナルのコンタックスUと比べて、シンクロ接点が追加、ボディ下部が戦後のコンタックスUaに似ている、巻き戻しノブのデザインが戦後のコンタックスUaに似ている、というあたりが違います。ちなみにセレン露出計が乗っかっているのはキエフ4という機種名になります。

 本当はコンタックスが欲しいのですが、その前にどんな仕組みなのか、使い勝手はどうなのかを知りたく、安価なキエフをGETしてみたのですが、フェドとは違ってキエフは高級感もあり、作りも意外と良いです。一番興味があったのはレンズマウント近辺で、ヘリコイドがボディ側にある、というのはどういうものなのかが不思議だったのですが、現物を見て納得できました。レンズも相変わらずツァイスのコピーで、ジュピター8はゾナー50mmF2のコピーです。レンズマウントは全くコンタックスと同じ規格ですので、レンズは完全互換です。後玉の大きなジュピター12(35mmF2.8)だけはコンタックスUa・Vaにつきませんが、これはツァイスの戦前ビオゴン35mmF2.8も同様です。

 さて、$81と圧倒的な安値でGETしたキエフですが、高速シャッターが怪しいです。シャッターボタンを勢い良く押すと、なんとなく正しそうですが、ゆっくり押すと、先幕と後幕が同時に動いてしまうみたいです。鎧戸シャッターは変わった仕組みで、先幕は開口部上部で引っ掛かって止っていて、シャッターを押すと爪が外れて切れるみたいです。
 また、巻き取りスプールも付属していなかったので、とりあえずフィルムの中身を使って自作してみました。エキザクタのスプールでも使えそうですが、巻き上げ方向が逆なので使いにくいのです。シャッター以外はまあまあの程度で、距離計ははっきりしていますし、大体合っているみたいです。

 鎧戸シャッターの独特の音が楽しく、ピントあわせのダイアルは使いにくいですが、直接レンズを持って回せますし、なかなか楽しいカメラです。重たいカメラですが。ちゃんと使えるかどうかはまだ分かりませんが、これは本当に本家のコンタックスも欲しくなってきてしまいました・・・。

高速シャッター・距離計の調整のために分解したところです。Kiev(コンタックス)の感心なところは、普通のマイナスネジでほぼ全てが組み立てられており、ライカのような特殊工具が全く要らない点です。分解もわかりやすく、簡単です。
シャッターを調整するためにシャッターユニットまで取り出したところです。本当はここまで分解しなくて良かったのですが・・・。この写真はシャッターチャージ前です。

左に紫色のコードがありますが、これはシンクロ用のコードです。

こちらがシャッターをチャージしたところです。シャッターは写真の上から下に走ります。先幕を引っかけて止めている金具があり、実際に先幕はその金具が外れることによって走り出します。これを調整すれば良さそうなのですが、どこを見ても調整ネジが分からず、相当悩みました。実際は、その金具を丈夫で止めている大きなマイナスネジが偏心になっていて、そのネジを回すと金具の位置が左右に動かせるのでした・・・。もちろんここまで分解しなくて十分調整できます。

なお、シャッター速度は幕間と、速度も4段階に変速され、実に凝った仕組みです。先幕は下部のドラムに直に固定されており、後幕は下部のドラムの左右に見える赤いリボンで固定されています。テンションももう少し上げたかったのですが、これはいまだに不明です。まあ、何とか高速シャッターでもちゃんと開くようにはなりました。ただ、ゆっくりシャッターを切ると、低速シャッターで先幕が早く下がりはじめすぎますが・・・。また、シャッター幕が重過ぎるのか、縦位置では最高速にむらが生じます。いずれにしても凝りすぎ、って感じです。

こちらはボディ正面から見たところです。距離計の狂いは、向かって左にある距離計窓部分を、ネジをゆるめて移動させて可能ですが、それでも調整しきれない場合はユニットごと簡単に取り出せ、アームの角度を変えることでいくらでも調整はできますが、最終的に位置を決定するのはかなり大変です。なお、距離計像はミラーなどの角度で移動するのではなく、コンテッサとはちょっとしくみは違いますが、2枚のレンズの移動によって動きます。

距離計窓部分からファインダーへの光路はガラスで埋められており、ツァイス特有のお金のかかったファインダー系です。

距離計像を移動するユニットを取り出したところです。2枚のレンズの移動により像を移動させます。左に伸びた棒がヘリコイド移動用ネジ部分と連動する形になり、ここの角度を変えるといくらでも像を調整できます。その後、本体と合体し、このユニットの左右位置、さらに、対物側のレンズ位置を調整して無限遠でピッタリ像が合うようにするのですが、結構大変です。ネジを締め込むだけで像がずれます。
組みあがった状態です。ライカやALPAなどに比べ、分解・組み立てが合理的でわかりやすく、しかも何回も分解しても部品が痛んだりしにくいようです。実はまだ、フィルムのコマ間が不規則に開くのが問題ですが、だいぶ使える状態になりました。ついでにかなり掃除もしたので、ピカピカで、Kiev(コンタックス)の貴族的なデザインにしびれてしまいます。

 ケースもがんばって奇麗にしました。お世辞にも良いデザインとは言えない気がしますが、実にしっかり作られています。

 M3と並べたところです。ほぼ同じくらいの大きさです。レンズはゾナーは短くなるので(したがって一眼レフには50mmくらいでは使えない)、同じ50mmF2でもだいぶコンパクトです。この2台で購入価格が10倍以上(レンズも合わせると20倍?)違うとはとても思えません・・・。Kievのオリジナル、コンタックスUが登場したのはM3よりずっと旧く、ライカはまだバルナックタイプの時代でしたので、ツァイスの力も大した物です。さすがにM3と比べるとファインダー関連は相当見にくいですが、シャッターダイアルも1つで低速から高速まで使えますし、第2時世界大戦で分断されていなければM3以上のカメラも登場していたかもしれません。

 現在の私のKIEVセットです。テッサー50mmF3.5(沈胴)、ジュピター35mmF2.8、ターレットファインダはフェドのときの物です。本当はKIEV用のターレットファインダーは逆方向に膨らむようになっているのですが、特に使いにくいわけではありません。KIEV用をバルナックライカなどに使うとシャッターダイアルが回しにくくなるようですが。ボディもすばらしい作りですが、レンズもまたツァイスももちろんですが、クローンのジュピターもすばらしい描写で、お気に入りのセットです。しかも安い!


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