Leica Vb

 突然ですが、ライカVbをGETしました。実はかなり昔からバルナックライカは欲しくて、特に初期の板金加工のタイプ、さらにファインダーの近接した板金最後のVbが欲しかったのですが、生産台数が3万台ちょっとと少なく、なかなか値段と程度のバランスが良い物がこちらの財政状況と絡めてタイミングが合わなかったのでした。GETしたものはレンズ込みでなかなか綺麗な個体で、しかも20%OFFセールで安くGETできました。珍しく委託品ではなく、中古品で、6ヶ月保証があり、安心です。
 さて、Vbは戦前のモデルで、この固体も1939年頃のものだと思います。私の母と同じくらいの年で、それでこれだけの状態というのはいかに作りがすばらしいかを物語っております。メッキも綺麗で錆なども見当たらず、各部の動きも十分スムーズです。VbはVaの改良型で、それまで距離計接眼部とファインダー接眼部が離れていたのがすぐ側になった最初のモデルです。ファインダー部分にはダイキャストが使われ、Vc以降のダイキャストボディの直前のタイプで、生産期間も短いモデルです。Vaに比べるとわずかにファインダー部分の高さが高くなったのですが、基本的には初期バルナックの小さなボディです。Vc以降はボディ全体が数ミリ大きくなっています。
 付属していたエルマーもボディと同時期のもので、絞り値表記も古い形式のものです。

 バルナックライカのV*タイプはスローシャッターがあるのですが、ボディ正面側の別ダイヤルで合わせます。1/20の次が1/8とこの間が広すぎるのですが、逆に1/20,1/30,1/40,1/60とこの辺は細かくあります。Va同様、1/1000まであります。

 距離計は視度補正が巻き戻しノブの付け根にあり、多少補正ができますが、私の視力では不十分でした。M3とは違ってかなり小さく見難いファインダーですが、ロシア物に比べるとクリアな感じです。ストロボ同調はありません。

 レンズキャップはプラスチックのものがついていたのですが、せっかくなので金属のものを購入しました。LeicaのロゴがM3の時代のものとちょっと違います。

 この時代のエルマーは沈胴すると実にコンパクト。ボディもコンパクトなので持ち歩きにとても便利です。

 M3と並べるとバルナックタイプのコンパクトさが良く分かります。もっともM3は大きくなった部分のほとんどがファインダー部分で、実際その部分の差が非常に大きいので、コンパクトさを取るか、ファインダーの見易さを取るか、難しいところです。

 巻き上げレバーやシャッター速度設定などは、アマチュアがのんびり撮影するぶんには大差ありません。セルフタイマーはやっぱりあったほうが便利だとは思いますが。

 横から見ても大きさがかなり違います。ボディの厚さも違いますし、高さはかなり違います。レンズもエルマーでそろえて見ましたが結構違います。

 正面から比べると、やはりファインダーから上が大きくなった、ということが良くわかります。貼り皮の部分まではそれほど差はありません。

 ボディ上部のLeicaロゴも書体が微妙に違います。メッキはVbの方がテカテカした感じです。

 沈胴させたエルマーの厚みの違いもかなりありますね。

 底蓋を並べると大きさの違いが実感できます。なんとなく作りとしてはVbの方が丁寧で手間がかかっている感じがします。

 マウントも並べるとやはり大きさが結構違うように感じます。

 スプールも並べてみました。手前がVbのものです。

 エルマーとロシア製のインダスターを並べました。面白いのは距離表示で、文字の向きが逆です。エルマーは1群目と2群目の間に絞りがありますが、インダスターはテッサー同様、2群目と3群目の間に絞りがあります。メッキの具合はインダスターのほうが見事な感じですが作りはエルマーの方が丁寧です。

 現行のエルマーも並べました。さすがに同じエルマーとは思えないほどの違いがありますね。なお、現行のエルマーはだけはエルマーのくせに2群目と3群目の間に絞りがあります。

 レンズキャップです。左が現行エルマー用、右が昔のエルマー用です。大きさはもちろん違いますが、Leicaの書体の違いも面白いものです。ボディの刻印同様の違いです。

 バルナックライカをボディの寸法の参考にしたオリンパスOM-1を並べてみました。確かにペンタプリズム部分以外はほぼ同じ大きさです。ただ、明るさの差はありますがレンズの大きさはかなり違います。ミラーがあるのでパンケーキレンズでもとてもバルナックライカにはかないません。

 実際に使った感触ですが、さすがにファインダーはM3と比べてしまうとピントの合わせやすさもフレーミングのしやすさもかなりの差がありますが、それほど不便なわけでもありません。距離計がないボディを使うことを考えれば全然安心して撮影できます。シャッター速度はフィルムを巻き上げないと設定できなかったり、高速・低速が分かれている、など面倒ですが、これも普通に撮影しているぶんにはたいした手間ではありません。フィルム巻上げにレバーが無い点なんか些細なことです。シャッターレリーズボタンの位置がちょっと押しにくい位置ですが、これもニコンSシリーズやFを使っている人なら同じようなものでしょう(私は使っていないので知りませんが)。エルマーも絞り設定の面倒やなどがありますが、たいしたことではないでしょう。FEDを使う感覚と操作的には非常に似ていて、さらに質感が上なので使っていて気持ちが良いです。コンパクトで手で握ったまま歩いても全然邪魔にならない感じがたまりません。もちろんデザインも素敵です。シャッターの切れる感覚なんかはやはりM3にはかないませんが、それほどショックがある感じでもありません。戦前のカメラが今でも十分使えることは本当にすごいことです。

 エルマーの写りもローコントラストながら、程々のシャープさ、ボケの自然さなど、やさしい描写で良いです。絞り表記がなじみにくいのが残念ですが、どうせシャッター速度系列も現在のカメラとは違い、露出計を使っていてもどちらも不便です。戦後のコーティングされたタイプも使ってみたいところです。せっかくなので同時期のズマールなど、オールドライカレンズも味わってみたいなぁ・・・。

 ネガ・ポジ2本で試写したところ、シャッター幕の動作に問題がありました。後幕のスピードが先幕より速く、1/1000では開きませんし、高速側ではむらが出てしまいました。中古品なので購入先に相談したところ、快く、調整しますよ、と言ってもらえました。購入後の対応の良し悪しはお店によってかなり差があると思うのですが、気持ちいい対応をしてもらえると本当にうれしいものです。安いカメラならシャッターのテンション調整くらい自分でやってしまうのですが、あこがれていたバルナックライカですから、やはりプロにちゃんと調整してもらって安心して使いたいところです。バルナックタイプはシャッターの状態を直接見れないので購入時に高速シャッターが開いているかどうかがチェックできないのがちょっと不便ですね。

 しかし、エルマーの描写は良いです。そんなにいいのなら使いやすいM3で使えば良いじゃないか、と思われるかもしれませんが、M型を使っているときはいちいちLマウントアダプターを着けたり外したりするのが結構面倒なものなのです。Lマウントだけを使うのならずっとLマウントアダプターをつけておけばいいのですが、Mマウントレンズにもお気に入りがたくさんありますので・・・。それに、不思議とボディが変わると結果が変わってくるものだと思います。撮影時の気分が違うのでしょう。また、古いエルマーなどは絞り表記が現在と違い、デジタル露出計といっしょに使いにくいのですが、古いボディだとシャッター速度系列もまた現在と違うので両方で調整ができ、それはそれで便利なのでした。

 修理からVbが戻ってきました。シャッターのテンション調整だけでなく、シャッターまわりの分解整備まで行っていただけたようで、圧倒的な調子の良さです。巻き上げの感触、シャッターを切ったときの音など、全く別物に生まれ変わりました。さすがプロの腕はすばらしい。2割引セールで買っておいて、ここまで整備してもらい、とてもうれしいです。たまにはこういうこともあるものですね。

 Vbが留守の間に、ズームフードやセコニックのツインメイト(露出計)を買っておいたので、これからまたどんどん使おうと思っています。

 90mmレンズをGETしましたので(ライカレンズのページをご覧ください)、バルナックタイプでは外付けファインダーが無いとフレーミングが困難なのですが、手持ちのロシア製のターレットファインダーはいまいち水平度に信頼性が無いので、ライツのイマレクトファインダーをGETしました。ちょっと曇りがあったのですが、分解してまあまあ綺麗になりました。

 実は、Vbの留守の間に、ジャンクのイマレクトファインダーをGETしてあって、私としてはせっかくのパララックス補正(足の部分にある)の目盛をどうしてもメートル表記のものが欲しかったのですが、探してみると意外とフィートのものが多く、たまたまジャンクで見つけたものがメートルでしたのでここの部品取り用にGETしたのでした。さらに分解整備方法の研究にも役立ちました。右のがジャンクで、足は入れ替えましたが、この状態で売っていました。なんとプリズム・接眼部が無いのです。

 イマレクトファインダーはそれまで逆像だったユニバーサルファインダー(ビドムなど)にプリズムを加えて正像にしたもので、35,50,85,90,135mmレンズの目盛があります。初期のものには73mmの目盛があるものなどもあります。

 我が家のライカもついに3台になりました。それぞれ個性的で触っても使っても眺めても楽しいカメラです。

 

 レンジファインダー用のコントラストフィルターをGETしてみました。OKAROというコードネームのものです。Vbより昔の型にはORAKOというコードネームのものになります。大きさがちょっと違います。

 ようするにただのオレンジフィルターなのですが、明るいときにこれをつけるとかなりピント調整が見やすくなります。暗いときは外した方が良さそうですが。こんな小さなものでも実にまじめにしっかり作ってあります。

 

 ちょっとALPAのフィルムがあまったので、マクロスイターによるVb関連のクローズアップでも・・・。

 まずは戦前のエルマー90mmF4の象嵌細工を。絞り値と深度目盛が象嵌になっています。深度目盛の方がさらに見事なのですが、撮り忘れました。

 つづいて、ズームフード。これまた細工が見事で、刻印も実に綺麗です。90mmに使う分には気になりませんが、50mmなどに使うと大げさで、重たいです。

 エルマーリングの様子です。フードに装着し、エルマーの絞り調整個所にリングの爪を合わせると、フードを回転させるだけで絞り値が簡単に変更できます・・・とは言うものの、はじめから絞り調整の位置を他に移動した方が断然使いやすいことは間違いありません・・・。

 イマレクトファインダーです。これも実に木目細かな細工です。こういうどうでも良いようなアクセサリーにお金をかけても売れていた時代があったのですね。

 ヌーキーです。私のものはエルマー用ですが、他にズマール・ズミタール用、ズミクロン用もあります。実は眼鏡の部分が結構柔らかいので曲がりやすいので注意が必要です。

 底ブタの加工の見事さは上のほうでも紹介しましたが、またしつこく・・・。

 軍艦部です。うっとりするようなすばらしいデザインと加工です。ここまで来ると道具、と言うよりは、宝石、という感じですね。

 


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