優先すべきこと

 いろいろとやることが多く、コメントをなかなか書けなかったのですが、おかげさまで本書は継続的に売れているそうで、先日増刷となりましたが、さらに増刷が決まったようです。ご購読いただいた皆様に心より感謝いたします。相変わらず批判も多いようですが、一般的な内容に関しては気づいた際にこの場などで説明を書いていきたいと考えています。「独断と偏見による自己満足が満載」というような批判があるようですが、私は、この手の本というものは著者の考えや経験を元に、読者が自分の考えの参考にするものだと考えています。読んだからといって強制させられるわけでもありませんし、他の意見を聞いたり読んだりしてはいけないということでもありません。たくさんの本や知人との会話などを参考に、自分独自の夢・目標を達成するための方針をまとめていけば良いだけです。読者それぞれ参考にするポイントは違いますし、それこそ一冊丸ごと参考にならなかったということもあると思います。しかし、自分の考えと違う意見はとても重要なのです。自分の考えが本当に正しいかどうかを再考するきっかけにもなります。自分の考えと同じ意見は確信の助けになるでしょう。そのような本の役割から考えると、多くの人の意見をまとめたような本も良いかもしれませんが、私としては著者が自分で考えたり経験したことをはっきりと示した方が役に立つのではないかと考えています。したがって「独断と偏見による自己満足」という印象を持たれてしまうのは仕方がないことなのでしょう。ただし、私が本書で書いたことは基本的に事実だけです。実際に私がどういう考え方でどういう結果になっているのかを書いています。これから先にどうなるかはもちろん私自身にもわからないのですが、少なくとも現時点では本書に書いたことは真実ですので、そういう意味では「独断と偏見」かもしれませんが「自己満足」だけではなく、実際に社会で本書に書いたような私自身の成果があったわけです。言い訳がましくなりましたが、自分の考え方と逆の意見を知るとだれもが多かれ少なかれ頭にくるものです。しかし、それを拒否していては他の考え方の良い面を取り入れることができなくなり、結局長い目で見れば損な場合が多いと思います。自分をしっかり持っている人ほど他の意見にも興味を示すものではないかと私自身にも言い聞かせて、まずは謙虚な気持ちを大切にして多くのものを吸収したいものです。

「優先すべきこと」

 さて、毎回前置きが長いのですが、実は最近やることが多かった一つの原因に、「フランクリン・プランナー」という第四世代手帳を知り、それに関して勉強していたことがあります。第一世代が単なるメモ、第二世代がスケジュールの管理、第三世代が目標と優先順位のスケジュール化、第四世代が行動の管理、という進化だそうです。詳しい説明は私がするよりも参考図書やフランクリン・コヴィー社のWEBサイトを見ていただいた方が良いのですが、この手帳の考え方で共感した点をご紹介してみましょう。

 自分に関係する出来事には、「重要度」と「緊急度」の組み合わせで4つの分類ができるそうです。

  緊急 緊急でない
重要 第一領域
期日の決まった仕事や事故など
第二領域
将来に向けてやるべきことなど
重要でない 第三領域
相手の都合につきあうことなど
第四領域
暇つぶしなど

この中で、一般の人の行動は、第一領域に振り回されて一日が終わる、あるいは第三領域の割り込みで忙しく過ごす、というパターンが多いそうで、それに疲れると第四領域に逃げ込むのだそうです。ネットサーフィンなども第四領域で、私も疲れると間違いなくそこに逃げ込んでいます。そうすると、本来長期的に一番重要で、しかも積み重ねが大切な第二領域が先送りになってしまい、結局いつになっても自分のなるべき状態に到達できないのだそうです。本当は第二領域に重点的に時間を使うことにより、準備が万全となり、第一領域をもコントロールできるようになるのです。

 従来の手帳が時間や優先順位の管理のために、つまり、外的要因に対処することが中心の管理となり、第四世代の手帳は、上記の第二領域、つまり自分自身の将来のために使うことが大きな違いのようです。

 私自身はたまたまこのような手帳を使っていなくても、自分自身があまり他人に左右されないようなマイペースな性格でしたので、意外と第二領域、つまり長期的な目標に向けての積み重ねを意識せずとも行っていた気がします。仕事でもプライベートでも自分がやりたいことを最優先でやるタイプです。やりたいことをやるためにほかの事を頑張って素早く終わるように調整します。本書で紹介している、「得意分野で勝負する」というのもまさにやりたいことをやるためですし、効率よく仕事をするために汎用化を日ごろから心がけたり、そもそも得意な仕事を確保するように努力します。そういう行動を続けた結果、就職時点での2大目標の「家を買う」「ポルシェを買う」のうち、家は30歳になる直前にマンションを購入し、その後一戸建てを買いました。残念ながらまだポルシェは買えていませんが、車は買えました。さらに著書を書くことで自分の父親と並び(父は以前英語の先生をしていて、英語教材をいくつか著しました)、収入も同世代の中では良い方でしょうし、立場的にも会社を代表するという責任ある立場になり、部下に将来を語り、子供たちに人生について語ることもたくさんありますし、まだまだ夢は沢山ありますが、自分の理想に着実に近づいていると思っています。その一番のポイントは「自分の一番大切なことを優先する」ために工夫を続けてきたことだと思っています。それがこの手帳では実にわかりやすくまとめて管理していけるのです。仕事だけではなくプライベートなこともたくさん書く、というのも重要です。早速購入して使い始めました。

 ちょうど勤務先でも各部署の目標を責任者会議で議論しているのですが、まずは部としての方針がしっかりしていないと個々の目標も決められず、メンバーの役割も決められないという根本的なところで問題が結構あるものです。リーダーは方針をしっかり決め、もちろん社会の変化に応じて方針も変化する必要はありますが、その方針がどれだけメンバーにとってメリットのある夢のあるものなのかを語り、実現するための個別目標を明確化し、役割を割り当てていかねばなりません。メンバーから希望を聞き、それを集めて目標を設定するという逆のやり方では、方針が定められませんから、目標を達成したらどういう良いことがあるのかをメンバーが想像できず、結局やる気が出ないですし、やったとしても良くなるとは限りません。早速この手帳の考え方を社内で紹介しました。

 プログラミングでも本書で書いたように同様で、まずはどういうプログラムにするのかを決め、それを実現するために必要な関数を作っていくというトップダウンの考え方が、目標通りのプログラムを完成させる方法だと思います。いきなりソースを書きながら作るのであれば本書で紹介したようなトップダウンのプログラミングです。仕様書を作る場合でもまずは方針・目標から決めていかねば本当に作りたかったプログラムになりません。

 この手帳の考え方は私がたまたま「自分の一番大切なことを優先する」という生き方をしてきたものに非常に近い考え方で、自分でも使い始めましたし、社内でも広まればと考えています。会社のために仕事をするのではなく、自分の夢の実現のために会社を使うのです。それなら個人で仕事をすれば良いではないかと考えるかもしれませんが、個人がばらばらに頑張るより、同じような目標を持つ人たちでチームを作り、組織で共通の目標に向かって進んだ方がさまざまな面で効率が良いのでチームや会社が必要なのです。リーダーは特にそのことをきちんと意識しなければなりません。事業の方針や将来を語り、目的に向かって役割を決め、仕事をしっかりすることで待遇も良くなり、自分の社会的価値も高くなり、自分の一番大切なことを実現する手段として、しっかり仕事をするということが自分の幸せにつながり、結果として会社も安定して発展していくことになるのです。頑張るとどういう良いことがあるかを語らないのはリーダーとして一番大切なことを忘れていますし、単に命令をするだけで引っ張ろうと思っても、人は表面的に動くだけで心から頑張ってはくれません。

 手帳は家族にも使ってもらおうと、早速注文しました。子供にもとても良い影響があることは間違いありません。今やっている勉強が一過性のものではなく、自分の将来の夢につながっているということを日々確認しながら行動するかどうかは大きな違いになることでしょう。私も子供のころにこういう考え方を教えてほしかったくらいです。

 この手帳を知ったのは、気に入って使えるペンを購入しようと文房具売り場を見ていた時です。最近はコンピューターばかりで、字を書かないので漢字が書けなくなっているのに反省し、気に入ったペンを買って少しでも字を書こうと思ったからです。さらに気に入った手帳を買えば良いかな、と見ていたらこの手帳がありました。漢字を書けるようになることが少しでも復活することも楽しみの一つです。

 自分の理想に向け、目標を着実に達成し、仕事もプライベートも目先のことに振り回されずに本当に重要なことを優先して行動していきたいものですね。

2007.3.1

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from 2007/1/13