小俣光之:オーディオ:試聴会のページ


1997年11月16日、メールで知り合った須永さんと試聴会を行いました。私と同じ川越市在住で、私のアンプは持っていかなかったのですが、もう一人の参加者(中沢さん)の6L6GAPPアンプと、須永さんの300Bシングルを使い、スピーカーは私と同じ系統の長岡式バックロードホーンD55で、試聴しました。

二人とも私のように軟弱にキットをくみ上げたのではなく、設計・部品集めなどからしっかりとやっておられました。

さて、音の方ですが、スピーカーが私のものと同系統なので、非常になじみやすく、アンプの特徴がよく分かりました。

中沢さんの6L6GAPPの方はクラシックなどではやややかましくなってしまいますが、ジャズのボーカルなどは非常にムードがよく出て、美しい音色でした。設計からご自分でやられたのですが、ノイズなども皆無で、中の配線も見せていただいたのですが、実に手際良くきれいにまとめられていました。傍熱式5極管プッシュプルですが、私の6BM8PPとはレベルが違い、しっかりした力のある音でした。

須永さんの300Bシングルの方は、私のアンプと同じような傾向で、音楽の隅々まではっきりと透明に聞かせてくれました。私のアンプを持参しなかったのではっきりした比較はできませんが、私のアンプより低音がしっかりしているように感じました。これはスピーカーの違いかも知れませんが。こちらのD55は208Σではなく、208スーパーが使用されていますし、私のD50よりはるかに構造的にしっかりしています(持ち上がりません)。高音は私のトゥイーターの昔のタイプなのですが、私の方が少し抜けが良いように感じました。


WE300B,Sovtec300B,GD4300Bチタンプレート、GD300Bスーパー

300Bは私の分をあわせて4種類が集まりましたので、比較してみました。GD300BスーパーとSovtec300Bはいまいち抜けが悪く、GD300Bスーパーは少々雑な音に感じ、Sovtec300Bは切れが悪い感じです。GD4300Bチタンプレートは良かったです。WE300Bとそれほど大きな差を感じず、私程度では10分間を空けて比較したら気がつかないくらいかもしれません。最終的には皆さん、WE300Bが良いということで、抜けが良く、低音も良く出て、分離も良く、伴奏とボーカルの区別が非常に明確にわかるとか、バイオリンの音に聞き惚れるとか、高い評価となりました。持ち主としてはうれしいのですが、次に高価なGD4300Bチタンプレートの倍の値段を考えると複雑な気持ちもあります。私としては、GDの作りの良さと、音の良さは雑誌などの評判どおりだな、と感じました。Sovtecは値段も安いですが、作りもいまいちで、そもそも重さがほかよりだいぶ軽く感じますので、ガラスの質なども違うようです。

須永さんからも感想を寄せていただきましたので、まとめます。

  須永さん
Sovtec300B 決して悪くない。むしろ値段(1.7万円)を考えるとコストパ
フォーマンスは最高だと思う。
ベールがかかったような感じ。切れが悪く、力がない。
良く言えばやさしいきれいな音。
GD300B 音がごちゃごちゃしている感じで、あまり好きではない。
値段(ペア4万円)なら、Sovtecの方が良いかもしれない。
自分の球が悪いのかもしれないが。
Sovtecより切れや力はあるが、オーケストラなどでは分
離が悪く、雑然としている。
GD4300Bチタンプレート WE300Bにせまるような良い音を出していたと思う。低音
の張り出しがWEを聴いてしまうとちょっと不満。
WE300Bとそれほど変わらないのでは?音色が硬く感じ
たのと、高音の抜けが少し違う感じだが、十分。
WE300B よく雑誌などで「中低域の張り出しが」などといわれている
が、実際に聞いて本当に実感した。パリっとした切れの
良い音。
抜けが良く、分離も良い。フォルテッシモでもうるさくなら
ない。大音量で聴いていても疲れを感じない。

須永さんいわく、「3極管は柔らかい音がするといわれていますが、決して低音が甘いのではなく、高音がすごく柔らかいという印象です。この柔らかい、やさしい高音と、音の余韻がたまらなく良いです。」だそうです。

こういった試聴をすると面白いのが、皆さんそれぞれに、好きな音色、音楽、場面が違う点で、私はギターやバイオリンをやっていた関係で、主に高音の抜け・分離・余韻・音色などが基準で好き嫌いを考えますが、須永さんはわりと中低音の切れ・力などが基準になっているようで(違っていたらすいません)、それぞれ違うのですが、最終的にWE300Bが二人とも良いということは、この球が幅広い趣味に対応した音色を持っているのだろうな。と思いました。中沢さんは古めのジャズなどもお好きなようで、そういった音楽や、洋楽などには6L6PPのようなタイプのアンプもまた捨て難い魅力があり、結局、ジャズ用・クラシック用といった感じにジャンルごとにアンプやスピーカーを分けるのが一番とか言って盛り上がってしまいました。

しかし、皆さんそれぞれ自分の好きなCDを持参して聴いたのですが、良いCD持っていました。良いものは好き嫌いのジャンルを超えて良いです。

 

<番外編>

なんと、蓄音機も持ち込まれていて、実にムードのある音を聞かせてくれました。中沢さんがご自分で修理したものです。針がレコード1枚両面聴いただけで使い捨てるというのにはびっくりしましたが、見た目もすばらしく、音量も家庭では十分以上にあり、居合わせた家族の皆さんで聞き惚れていました。もちろん電気は使いませんし、ぜんまいで動き、LPレコードと同じくらいの大きさのレコードで片面3分程度と非常にあっという間に終わってしまいます。


須永さんの実家にお邪魔したのですが、非常に気持ちよく迎えていただきました。娘まで連れていったのですが、いっしょに遊んでいただいたり、お母さんの音楽昔話を聞かせていただいたり、非常に楽しいひとときを過ごせました。皆さん、次のアンプの計画などされていて、うらやましいところですが、私はしばらく今のシステムで音楽を楽しみたいと思います。子供が大きくなったらまた作れる日が来るでしょう。でも、その前に一戸建てが欲しいです。今回の音量がうらやましい・・・。

須永さんと中沢さんの試聴会は3回目くらいだそうで、ぜひ私も今後とも参加させていただきたいと思いました。インターネットのおかげで知り合うことができました。すばらしいことです。

あらためて、真空管アンプの良さと、長岡式バックロードの素晴らしさを感じました。ただ、長岡式バックロードもすべてのジャンルに最適ではなく、やっぱりジャズなどではアルテックやJBLのような雰囲気が出せません。私個人としてはクラシック・フュージョンなどには向いていると思います。


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